四万十川
 流れはゆっくりと優しく全体を包んで
 時々力強い渦にのまれそうになる
 それでも体をゆだねても
 大丈夫
 音は山の奥の方の響きを
 耳から足先まで運んでくれる

 樽の滝
 最初 今の私には岩や小さな苔の塊にも
 足を踏み入れることも恐れ多く
 山々は受け入れてくれるか不安が襲う
 空から降ってくる細かなしぶきに踊りだした時
 体はきれいさっぱり滝の一部へすべりだしていた
 水の冷たさは森林の暖かさに変わり
 岩の痛さは大地の広い広い抱擁
 音は心の声さえかき消すけど
 素直な歌声だけ聴いてくれていた

 矢神の川
 いつもいつも見守ってくれていて
 いつ帰っても森の魂たちはここがあなたの家よって
 静かなオーケストラが鳴り響く
 すぐに体は全部に溶け込める
 いつでも音はやわらかに永遠のリズムを教えてくれる

 渋川の海
 瀬戸内海はいつも穏やかな空気に充満されていて
 島々に反射する光は私の心をうつしだす
 海の音に耳をすっとすませていれば
 地球の生きている鼓動が聞こえる
 空はどこまでもきれいに正直に訴えかける
 
 あなたはそこにいる 生きている
 みんなそこにいる 生きている